「治療」

(注意!)

このページに書かれた情報は、基本的にサイト管理者の経験や私見にもとづくものであり、専門家の見解を掲載しているものではありませんのでご注意ください。治療が必要な方は、医療機関で専門家の診断を受け、その指示に従ってください。

FDの「治療」とは

 治療という言葉の意味は、大辞泉によれば「病気やけがをなおすこと。病気や症状を治癒あるいは軽快させるための医療行為」とあります。

 FDは、食べるという機能に一部不具合が生じている状態であり、ある種の症状であるに違いありませんが、私自身、「病気」という言い方には多少の抵抗を感じますし、治療ということばが「病気」を治すことや症状を治癒するための「医療行為」を指すとしたら、FD(会食恐怖症)を治すことを単純に治療と呼ぶべきなのか議論があろうと思います。ですので、このページでは、FDを治そうとすることを、ざっくり「治療」と「」付きで呼んでいます。

「治療」に際しての心構え

 最近は心療内科があちこちにありますし、門をくぐるハードルも低くなりました。インターネットの普及にともない、会食恐怖症という概念も、少なくとも心療内科医であればまず共有されていると考えてよいでしょう。ですから、誰かの助けが必要だと考えるのなら、まずは相談してみると良いと思います。

 

 ただ一方で、あくまで私見ですが、心療内科での「治療」に過剰な期待をするのもまた危険ではないかと思っています。心療内科におけるカウンセリングや投薬治療には、効果があるでしょう。ただ、カウンセリングはその性質上、効果がすぐに表れるものではありませんし、薬にしても、飲めばいきなり症状が軽快してその後一切症状が出なくなる、というものではないと思います。

 

 カウンセリングや、場合によっては薬の服用、また、場面を体験しようとする日々の心がけなど、自分にあった方法を組み合わせることで、症状のコントロールや軽減をはかり、将来に向けて次第に症状を軽くしていく、というのがもっとも現実的に思えますし、その程度に考えておいた方が、「医者に行っても意味がなかった」というような落胆にはつながらないのではないでしょうか。

どこに相談したら良いものやら…(学生時代のむかしばなし)

◆怪しげな「催眠治療院」

  自分の症状が単なる「食事時にだけ起こるひどいあがり症」を越え、何らかの「治療」が必要な不具合であると思ったのは、おそらく高校生あたりだったでしょうか。しかし高校時代は弁当持参だったこともあり、日常生活において困ることはあまりありませんでしたので、実際に誰かに相談しようとしたのは、就職を現実のものとして数年後に控えた大学以降のことです。とはいえ当時はインターネットもなく、心療内科などというものも知らず(一般の方にはほとんど知られておらず、市民権は得ていなかったのではないでしょうか)、「普段はいたって健康なのに人と食事ができない」などという聞いたこともない症状を誰に何と相談したらよいものやら、まったくわかりませんでした。

 

 困った挙句、最初に自分で起こしたアクションは、怪しいとは思いながらも、当時電車内でよく見かけた「催眠療法」のステッカーの連絡先に電話することでした。広告によれば「あがり症」が治るとのこと。自宅からかけるのは気が引けたので、公衆電話から電話し、地図を頼りに教えられた住所に行くと、たどり着いたのは薄暗いマンションの一室です。恐る恐る話を聞きましたが、症状について何か知識がある様子もなく、確か一回1万円もするセミナーに毎週通え、とのことでしたので、早々に退散しました。

 

◆大学のカウンセリング室

 次に訪れたのは、大学のカウンセリング室です。ここには月一回のペースでしばらく通いました。自分の症状を他人に詳しく話したのはこれが初めてのことでしたので、いくぶんか心が軽くなりました。

 しかしカウンセリングは、基本的には「話をじっくり聞く」というスタンスで行われ、何らかの劇的なアドバイスをくれる訳ではありません。とにかく症状を早く治したいと思っていた私は、何らかの具体的な「治療方法」を欲していましたので、あまり状況に進捗がないとわかると、カウンセラーとのおしゃべりは時間の無駄のように思えてしまい、次第に足が遠のきました。

 

 今なら、大学のカウンセリング室でも、きっと場合によって心療内科の受診を勧めたりするのでしょうし、料金もかかりませんから、学生の方はまずは門を叩いてみるのも良いかと思います。

 

◆病院に行ってはみたものの

 学生時代に最後に訪れたのは、学生に配布された冊子に多数掲載されていた内科医のひとつです。ここは確か、神経性胃炎などストレスによる胃腸の不具合などの問題を扱っているようなことが書かれていたと思いますが、行ってみると、こちらの症状の説明にもピンと来ない様子であまり反応がなく、とりあえず「薬」を処方されただけでした。当時は今のように「気軽に」心療内科に相談するような社会状況になかったので、恐らくそうした患者もあまりいなかったのでしょう。処方されたカラフルな「薬」は、胃腸薬か偽薬だったと思います。

 

◆最後に頼れるのは自分自身

 自分の場合、いろいろ試したものの、満足の行く結果は得られなかったため、「やはり治療方法などなく、自分でできることをするしかない」と思いました。「学校・学生生活」の項目にも書きましたが、結局学生時代は、あらゆるアルバイトを経験したり、サーフィンにチャレンジしたりすることで、自分なりに症状を軽減しようと努めました。

 

 今は心療内科の数が多く、ハードルも低いので、当時に比べて格段に環境は整っている(少なくとも都会では)と思いますので、困っている方は、まずは専門家に相談するのが良いでしょう。自分の場合は、なまじ頼れるものがなかったので、自分なりに環境に適応する努力をしました。社会人になってから心療内科にも行きましたが、ことFDに関して、他者に多くの期待をせず最後に頼れるのは自分自身であるという、良い意味での「あきらめ」や心構えがそれなりにできたのは、当時の経験が役立っているためかもしれません。

 

心療内科について

 繰り返しますが、私は専門家ではないので、病院に行くべきか否かや、治療内容についての論評はできません。以下はあくまでも個人的な経験です。

 

 社会人になって他人と食事をする機会が増え、失敗する機会も増えたことをきっかけに、入社3年目に心療内科の門をたたくことにしました。(当然ながら)先生は会食恐怖についてのご認識があり、話はスムーズでした。診察の結果、薬(ごく軽いとされる「抗不安薬」)の処方も受けました。

 

 私はあまり薬に頼りたくなかったので、医師と相談のうえ、どうしても失敗が予測される時に限り、不安感の軽減のため頓服的に服用していました。薬を使わないので、通院も年に1回あるかないか程度でした。ここ数年は薬も服用していません。

 薬の効果については、確かに服用すると不安感が軽減し気分が楽になりました。但し、あくまで個人的にですが、劇的に症状が無くなるというわけではありませんでしたし、眠気の副作用がきついということもあり、会食があるたびに毎回服用するようなものではないと感じていました。 個人差があると思いますが、薬についても、「飲んだ途端に効果が表れ、すぐに症状が完治する」というように、過剰な期待をしない方が良いのではないかと思っています。いかなる方法にせよ、「治療」には時間がかかるというのが私の個人的な印象です。

 

 ところで、社会人の方には、通院したら職場に分かってしまうのではないか、と心配なさる方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分の場合は、大組織だから分からないだろうし、もし分かったところで、それがありのままの自分なのだから仕方ないし、普段の仕事ぶりで判断してもらえれば良いと思ったので特に躊躇しませんでした。そもそも、診療科の受診記録が総務担当などに伝わるものなのでしょうか?このあたりは、何か経験談をお持ちの方がいらしたらお話をきいてみたいところです。

 

参考(「自律訓練法」)

 あくまでも私の場合ですが、いわゆる「自律訓練法(自己催眠法)」は、会食の時に限らず、日常的に気持ちを落ち着かせるための具体的な方法として、結構役に立っています。

 「催眠療法」には、先に書いたような苦い記憶があるので、最初「自己催眠」という言葉を聞いて胡散臭いものの一種ではないかと疑いましたが、ドイツの精神医学者が考案した有名な方法ですので心配ないと思います。簡単に言うと、体をリラックスさせることで心も落ち着かせる技術と言って良いでしょうか。具体的には、「腕が重い」とか「腕が温かい」という状態をイメージすることで実際に腕が温かくなるよう訓練することから始め、いくつかの段階を経て完了します。学生時代に本を読み、数ヶ月で覚えたように記憶します。

 

 関連書籍も多数あるようですし、自分で練習するだけでお金もかかりませんので、何か少しでもできることはないかと探している方は、いちど試してみるのも良いのではないでしょうか。

 

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